【事例】

Aさんは、企業で営業職の従業員として働いていました。

この会社では、毎日のように始業前に営業の準備、ミーティング、ラジオ体操などが行われており、また夜も営業回りが終わった後の伝票の整理等の仕事がありました。

Aさんは、平均で毎日2時間程度の早朝及び夜間残業を行っていましたが、支払われているのは毎月2万円の超過勤務手当のみです。

Aさんはこの会社が好きで長年全力で仕事をしましたが、会社が他の会社の子会社になったことをきっかけに、親会社から派遣された上司らの方針転換によって社内の雰囲気が急速に悪化しました。

Aさんも、上司から執拗に叱責等を受けるようになり、当初は自分自身で会社に立ち向かいましたが、会社はついに密室でAさんに退職を迫るようになりました。

Aさんは、会社に嫌気がさして退職自体を行うことは決めたものの、会社の行為が違法なのではないかと考え、当事務所に相談に来られました。

 

【結果】

担当した弁護士は、Aさんの希望を聴取し、Aさんと相談の上、処理方針を決定しました。

処理方針の内容は、会社に対して申し入れを行い、会社側の強要等をやめさせた上で、これまで未払であった退職金の確保を行い、会社に対して一矢報いることでした。

担当弁護士は、すぐに会社に電話をかけ、会社側がAさんに対して書かせようとしていた残業代の請求を行わないことなどを内容とする念書等を強要しないこと、就業規則を開示することなどを申し入れました。

また、会社がAさんと退職に関して面談する際に、Aさんに対して面談中にも電話で直接アドバイスを行い、会社の担当者に対しても強要等をしないように直接申し入れを行いました。

その後、会社から就業規則やタイムカードの開示を受け、労働基準法の基準に従った残業代を計算し、会社に対して残業代の請求を行いました。

その結果、ご相談から4ヶ月ほどで、会社との間で、Aさんに対して300万円の未払残業代を支払う旨の和解が成立しました。

事件終了後、Aさんからは、「残業代だけでなく、アイデンティティも守っていただき、ありがとうございました。」との過分なお褒めの言葉をいただき、大変満足していただきました。

弁護士法人翠